インターネットの世界には無数の記事が既に存在し、今も新しい記事が投稿され続けています。これらの記事には記事単位でURLが割り振られており、そのURLを検索するサービスが検索エンジンです。
今現在ではグーグル社が提供する「グーグル検索」がインターネット検索のシェア94%を握っており、二番手のBingは僅か6%のシェアしかありません(2016年調べ)。つまり、インターネット上の記事を検索するということは、事実上グーグル検索を利用する事と同意義語と言えるのです。
グーグルの素顔 「世界最大の広告代理店」
グーグルの収益モデル その① テキスト広告
「検索サービス」では検索結果に表示される一般のホームページやブログの記事、動画のURLと前後してテキスト文字広告が表示されているのをご覧になられた方も多いと思います。これは「検索ユーザーが検索したキーワードを広告対象に設定している企業」がある場合、その企業のテキスト広告が表示されているのです。
このテキスト広告は競争入札制(オークション形式)となっており、入札単価が高い順番で上位に表示されるシステムです。例えば、クリスマスシーズンになるとクリスマスケーキをインターネットで注文する人が急増します。このクリスマスケーキの需要を狙って、広告宣伝を実施する企業や商店が存在するのです。
東京都葛飾区にある架空の個人経営のケーキ屋さん「葛飾ケーキ店」が、「クリスマスケーキ+葛飾区」で検索が発生した場合に「自社の広告がクリックされた場合は100円をグーグルにお支払いします」という広告契約を締結しているとします。このキーワードにライバルが存在しないか、ライバルが100円未満の広告料を提示していれば、検索結果第一位の記事の上部にテキスト広告として「葛飾ケーキ店のホームページやブログ・動画のURL」が広告として表示されるのです。
このキーワードの組み合わせ次第でより詳細に葛飾ケーキ店が期待するケーキ購入見込み客をフィルターすることも可能となります。「クリスマスケーキ+予約+葛飾区」「チーズケーキ専門店+葛飾区」など、ケーキ購入に前向きな人をフィルターして、その需要を取り込むことが可能となるのが、テキスト広告です。
これがグーグル社のビジネスモデルの出発点となります。しかし、グーグル検索で表示されるのがテキスト広告ばかりでは、NTTイエローページ電話帳となんら変わりはありません。そこでグーグルはインターネット上のありとあらゆる情報を収集して整理し、「情報を価値ある順番に整理して表示する検索サービス」と「テキスト広告」を同じ画面に表示するようにしたのです。
これが検索エンジンのビジネスモデルの基本となります。あとは、検索ユーザーが抱いた興味や疑問点を解決する方法として、グーグルの検索サイトの精度を高めれば、グーグルの検索サイトを利用するユーザーが自然と増加していくのです。
ここで重要なポイントは、グーグルは何一つコンテンツを提供していない事です。あくまで検索結果に表示されるのは、グーグル以外の企業や個人が作ったコンテンツであり、グーグルはそれらの情報を整理・分類・ランク付けしたに過ぎません。
グーグルの収益モデル その② バナー広告
新聞社の記事ページや個人のブログ記事などに、長方形や四角形の多種多様なバナー広告を見かけると思います。これらバナー広告の代理店としてもグーグルは世界最大手です。新聞社の記事など、コンテンツ制作はグーグル以外の企業や個人ですが、それら企業や個人は自分のコンテンツに広告枠を設置して収益を得たいと考えています。
そして、その広告枠に広告を掲載したいと考えている広告出稿側の企業や個人も存在するのです。グーグルとは、その一般コンテンツと広告出稿側をマッチング(結び付け)する広告代理店なのです。
例えば、将棋が趣味で将棋の定石などについて記事を書いている個人のブログがあるとします。この将棋ブログのサイドバーや記事下に広告を掲載して収益を得たいと考えた場合、「グーグルアドセンス」に応募して審査に合格すれば、自身のブログにバナー広告枠を設けることが可能となります。
そうすると、将棋盤メーカーや将棋雑誌の出版社がそのブログの広告枠に広告を掲載すれば、売り上げ増加を期待できると考えて、バナー広告掲載をグー
グルに打診します。ここでのポイントはグーグル社は受け取った広告料の内、広告スペースを提供した将棋ブログ執筆者に広告出稿主から得た収入の一定割合を広告掲載料として支払う点です。
こうすると、広告出稿主は宣伝効果の高い広告掲載スペースに効率良く広告を掲載できますし、広告代理店であるグーグルと将棋ブログ執筆者の双方が収益を得ることになるのです。この仕組みはグーグル社が「グーグルアドセンス」というサービスで提供しています。詳しくは「google AdSense」というキーワードでお調べ下さい。
ここで再び思い出して頂きたいのですが、このケースでもグーグルは自社でコンテンツを制作していません。あくまで、広告代理店として将棋ブログ執筆者と広告枠の契約を結んでいるだけなのです。
検索ビジネスにまつわる疑問
上記までがグーグルのビジネスモデルの簡単な説明でしたが、もし、多額の金銭と引き換えに、「自社の製品やサービスを宣伝している記事」を検索結果の上位に表示してほしいという類の申し出があった場合はどうなるでしょうか?
A社は100万円出すので新型自動車Aを高く評価した記事を、車や自動車といった検索キーワードの時には上位に表示して欲しいと申し出て、グーグルがそれを承諾したとします。B社も負けじと200万円をグーグル社へ支払い新型自動車Bを絶賛する記事を検索結果上位に表示してもらいます。更に、C社は300万円を新型自動車Cの発売日に合わせて、新車発表の記事を検索結果の上位に表示するように依頼します。
もし、グーグルが金銭を受け取る見返りに、検索結果に表示する記事の順位を決めてしまうと、グーグル検索で自動車関連のキーワードを検索した際は、自動車メーカーの自画自賛記事ばかり表示されるようになってしまいます。
こうなってしまうと、検索ユーザーはグーグル検索に魅力を感じなくなり、他社の検索エンジンを利用するようになります。そして自社製品の自画自賛記事を検索結果上位に掲載依頼していた自動車メーカーも、検索ユーザーの存在しない検索エンジンに経費を使う理由が無くなり、グーグル検索への広告掲載意欲を失うのです。
このように、検索順位表示をお金で買える方式を採用すると、検索エンジンの魅力を失いかねない事態となってしまいます。このことから、グーグル検索ではコンテンツの質の高さだけを検索順位の掲載基準にしているのです。
尚、グーグル検索ではコンテンツを評価する基準を明確に公開していません。巷に氾濫しているSEO関連の記事は、あくまで経験に基づく推測の域を出ていないという事を肝に銘じる必要があります。
グーグルという会社の成り立ち 広告代理店としての存在感
各種サービスを提供するグーグルは、一般ユーザーに記事検索サービスとユーチューブ動画サイトを無料で解放していますが、コンテンツを自社で作ることはありません。そして、それらのコンテンツの広告枠と広告掲載企業を結ぶ広告代理店という仕事に特化したのがグーグルなのです。
このことを理解するとブログ執筆者に求められることは、「検索ユーザーにとって有意義なコンテンツを作る事」だと分かると思います。つまり、グーグルは常にコンテンツ作成者よりも検索ユーザーの方を向いており、検索ユーザーの利益=グーグルの利益なのです。
このような理由でコンテンツ作成者(ブログ執筆者や動画投稿者)は、検索ユーザーの利便性を第一に考えながらコンテンツ作成をしなくてはならないのです。
検索ユーザーの為になるユーザー作成コンテンツとは?
礼儀正しく、マナーをわきまえることは大前提です。また、著作権を侵害することのないオリジナルコンテンツであることは基本中の基本で、コピペや過剰な引用記事は検索結果ランキングから除外されてしまいます。
検索ユーザーは「知りたい」「見たい」「調べたい」「悩みを解決したい」「比べてみたい」といった理由でグーグルの検索エンジンを利用していますので、検索ユーザーの欲求を満たす回答や提案、解決方法を提供しているユーザー作成オリジナルコンテンツが有益な情報と言えるのです。
「今日の晩御飯はカレーでした。」、「私の先週のゴルフのスコアは89でした。」といった日記系の記事が、検索結果の上位に表示されている事が限りなく少ないのはその為です。
しかし、検索結果に表示されることが全てではありません。これはあくまで、グーグルが考える検索ユーザーにとって有益な情報ということであり、検索結果の下位だからといって、それらのブログや動画の価値を否定されているのではないことをご理解下さい。検索順位とは、グーグルの検索エンジンから見た評価ということです。
驚きの検索結果の実例 ここまで高性能なグーグル検索
最近ではAIを導入していると噂されているグーグルの検索エンジン技術は、単純に検索キーワードを含んだ記事を表示するのではないことをご存知でしょうか?
検索キーワード: 明石家さんま 嫁
検索結果1位: 大竹しのぶ(1988年-1992年)
検索キーワード: 松本人志 嫁
検索結果1位: 伊原凛 2009年から
思わず笑ってしまうほど、検索キーワードから検索ユーザーの意図を汲み取っていることが上記の検索結果から分かると思います。驚きの検索性能です。キーワードを4つ程度入力すれば、検索ユーザーが必要としている回答をかなりの精度で1ページ目に表示することが出来るのが、グーグル検索の凄いところだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか? グーグルという会社の収益の仕組みを知る事によって、検索エンジンの仕組みを理解することが出来たと思います。この記事をお読み人なられた方は、ブログや動画のアクセスについて悩みがある方が多いと思いますが、その疑問や悩みの解決にこの記事がお役に立てていれば幸いだと感じています。
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